何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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こと、とペンを机に置く。
難しい顔をして書類を睨みつけていると、唐突にドアが開いた。
「どうした、エディウス」
入ってきた彼はこちらの顔を見て、きょとんと首を傾げた。
「……リゼ、部屋に入ってくる時はノックしてって言ってるよね?」
「あーすまん忘れてた。……んで? そんな顔して何かあったか?」
悪びれもせず謝る彼にため息を付いて、席を立つ。
「ちょっと、西の塔に行くから付き合ってくれる?」
「俺今そこから来たばっかりよ?」
「……西の塔の管理人は君でしょ。君が居なくてどうするの」
呆れたように言うと、軽い返事をしてエディウスが通れるように大きく扉を開いた。
「ところで何の用だったの?」
「んー大したことじゃねぇよ。今朝出し忘れた書類持ってきただけだし」
「……期限は」
「明後日」
さらっと言われ、顔をしかめる。
急ぎではないが書類がまた増えるのか、とエディウスは溜息をついた。
「……お前は真面目だよなぁ」
「そういう問題じゃないと思うけど……。母様は書類仕事にこんなに時間かけてなかったからね。もうちょっと頑張らないと」
視線を前に向けたままのエディウスの横で、リゼが微妙な表情をする。
「……あー、そんで、今日西の塔に行くのは何でだ?」
「うん。昨日と今日の書類で仕入れの数が違ってるのと、あとここの記入漏れがあってね」
「ふーん」
リゼは西の塔の執務室に着くと、ちょっと待ってろと言いおいて部屋から退室した。
「……話を聞いてすぐに戻る予定だったんだけどなぁ」
仕方ないなぁ、と椅子に座って書類を見返す。
しばらく経って、扉が唐突に開かれた。
「ノックは」
「手が塞がってて」
にやりと笑って、両手に持ったトレイを机の上に置く。
暖かな湯気を立てるカップと、香ばしい匂いの焼き菓子だ。
「ついでにその書類の正しい数聞いてきたから、お茶に付き合えよ」
「……今教えてくれればすぐ訂正できるんだけど?」
「そこまで急ぎじゃねぇだろ。付き合ってくれたらちゃんと直しとくから」
言いながら、手際よく机の上を片付けていく。
お茶に付き合うまで教える気はないという態度に、エディウスはため息を付いた。
「……仕方ないなぁ」
「たまには良いだろ?」
「たまにならね」
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