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何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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 ゆっくりと歩を進める。
 右手に炎を喚び出せば、辺りは真昼のように明るくなった。
「君達に君達のルールがあるように、僕には僕のルールがある。残念だけど、容赦はしないよ」
 歯を食いしばり、武器を構える彼らに告げる。
 返答をする余裕もないのか、荒い息を吐くばかりだ。
 此処に辿り着くまでに随分消耗したのだろう、彼らの体のあちこちに傷が目立つ。
「ご苦労なことだね。この先にあるものは君が触れて良いものじゃない」
 右手を緩やかに動かす。その動きに合わせて、炎はまるで生き物のように蠢いた。
 彼らの背後、扉のある壁から、退路を断つように炎が吹き出る。
 それは瞬く間に彼らを追い越し、蠢く炎と合わさって彼らを包み込んだ。
「……くそっ」
 絶望に染まった顔を歪めた彼から、悪態が漏れた。
 それを見て、にこりと微笑む。
「さよなら。此処にさえ来なければ、君達も少しは長く生きられただろうに」
 言葉が終わるより早く、炎は彼らを飲み込んだ。

 少し後、炎が消えた部屋には誰の姿もなかった。

 ぽつり、と浮かぶ泡のように、意識が灯る。

 最初に感じたのは、浮遊感と、息苦しさ。
 呼吸をしなければ、と、息を吸い込む。
 同時に開いた目に映ったのは、暗闇の中、目の前に立つ人物の長い銀髪だった。
 誰、と思った瞬間に、答えが返る。
 この人物が、自分を創ったのだ、と。

 慣れない空気が肺を焼き、咳き込む。
 声が出ない。
 喉、が。
 陸に上がった魚のように口を開閉していると、ふとその人物の手が伸びた。
 喉に触れる、ひやりとした温度。
 途端に呼吸が楽になる。
「シェセルディ……」
 初めて発音した音は、けれど目の前の人物の表情すら変えることが出来なかった。

 ずるり、と密度の濃い闇から這い出す。
 闇から這い出しても、周りは暗く、足元さえ見えない。
 けれど、そんな事は彼には関係がなかった。
 光を感じるはずの眼球は元より無い。
 随分昔に負傷してから、眼球はなくしてしまったからだ。

 踏み出した足が硬い岩の感触を伝える。
 彼に明かりは必要なかったが、ある程度の広さを持つこの洞窟の隅には、暗闇で光る鉱石が点在していた。
 危なげなく歩を進めると、いつも座っている岩棚に腰を下ろす。
 居心地の良い状態にくり抜かれたその場所は、他より一段高く、けれど座れば前に立つ者と同じ目線になった。
 何の物音もしない静寂が満ちた洞窟内で、微睡むように身体を横に倒す。

 どのくらいそうしていたのか、軽い足音が遠くから響き、彼は僅かに顔を上げた。
 近寄ってくるその足音を暫く聞いて、不意に小さく笑う。
 踊るようなその足音に、光る鉱石が役立っていることを告げていた。
 明かりは、今から来る彼の為のものだから。

 いつもと同じように廊下を歩く。
 食事をしてきたばかりなので、機嫌が良い。
 突き当りの扉をおざなりに叩いて、押し開けながら声をかけた。
「ラウド、今日はー……」
 居室に足を踏み入れて、愕然とする。
 部屋の中はもぬけの殻だった。
 気配すらない。
「どうして……!」
 身を翻し、走り出す。
 彼のいそうな場所、行きそうな場所を探し、それでも姿を見つけられずに茫然とその場に膝をついた。

 いない。
 何処にも。
 まさか、逃げた?
 何から?
 僕から!?

 目に怒りが宿る。
「僕と同じものは君だけなのに……逃げるなんて許さない」
 ゆっくりと立ち上がると、すぐに歩き出した。
 彼を見つけるために。
 彼を、連れ戻すために。

 伸ばした手は届くはずだった。
 力があれば守ってやれると思ってた。
 だからずっと傍に居たし、これからも居るつもりでいた。
 それがこんな形で失われるとは思ってもいなかった。
 もっと長くいられると、思っていたのに。

 足元に転がった彼はもうピクリとも動かない。
 虚ろに開いたままだった目を閉じさせたら、まるで眠ってるかのようだった。
(よくも)
 胸にどす黒い感情が膨れ上がる。
(よくも、彼を)
 けれど、それをぶつけるべき敵はすでに全滅させてしまった。
 自分にもう少し力があったら。
 次代が見つかっていなかったら。
 とめどなく思考が空転する。
 ぎり、と歯を食いしばる。
(彼がいないなら)
(世界ごと滅ぼそうか)
 それはとても良い考えに思えた。
 だってもう、世界は自分にとって意味がない。
 滅ぼしたところで、反動があるわけでもないのだ。

「アルファル!」

 まさに力を集めようとしていた瞬間に名を呼ばれ、瞬きをする。
 心配そうな顔をして、青年が駆け寄ってきた。
(次代……。彼が、いなければ――)
 暗い、ぼんやりとした思考は腕を掴まれる感触で払われた。
「行こう。此処はもう落ちる」
 気遣わしげな声に、ため息を吐いた。
「……そうですね。行きましょう」
 くるりと踵を返す。
 暫く歩いて、足音が付いてこないことに気づいて振り返る。
「……何を、してるんです?」
「連れて、行こうと思って。残していきたくはない」
 もう動かない死体を抱えて、彼が答える。
「何処へ」
 息が詰まって上手く発音できない。
 けれど彼にはわかったようで、顔をあげるとさみしそうに微笑んだ。
「家に」
 あの日の当たる場所に。
「あぁ……そうですね」
 ゆっくりと息を吐き、運ぶのを手伝おうと手を伸ばした。

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プロフィール
HN:
沖縞 御津 または 逆凪。
趣味:
絵描き文書き睡眠。
自己紹介:
のんびり人生万歳。
1日20時間ほど寝れるんじゃないかと最近本気で思う。
でもこの頃睡眠時間が1~6時間と不規則気味。ていうか足りない。
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