何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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トン、とかすかな音を立てて着地する。
木の床は僅かな軋みも立てない。
真っ暗な空間を見回す。
いつもなら小さな明かりがひとつ、灯っているはずだったが、部屋の中は完全な暗闇だった。
手を伸ばせばすぐに棚に触れる。
明かりがあれば、部屋に林立する棚と、其処彼処に山と積まれた一見ガラクタと思われる物が置いてあるのが見えただろう。
けれど、一寸先すら見えない闇の中では、何があるのかすらわからない。
そんな中、迷うこと無く歩を進め、手を伸ばす。
手に触れた布を少し持ち上げてくぐり抜けると、すぐ横の木の板を軽く押した。
木の板は扉になっているため、抵抗はなかった。
するりと室内に入る。
窓から入る明かりで部屋の中は明るい。
窓際のベッドには、この家の主が眠っていた。
近くまで寄っても起きる気配はない。
(珍しい。僕が来ると大抵起きだすのに)
あまり見られない寝顔をじっと見つめ、ふと笑う。
「寝てる時くらい穏やかな顔ができないの?」
小声で呟き、眉間の皺を指先で撫でる。
「……ん……」
微かな身動ぎに手を放すが、まだ起きないようだった。
「んー、と、これだっけ?」
ごそごそと懐から数枚の葉っぱを取り出し、机の上にあった水差しからコップに注いだ水の中に入れる。
途端に部屋の中に爽やかな匂いが溢れた。
「ん、ちょっと多かったかな」
コップに薄く蓋をして、枕元に近い、窓の桟に置く。
「……良い夢を運ぶ、匂いなんだそうだよ」
笑いながら囁き、ベッドの脇に腰を下ろした。
「……?」
嗅ぎ慣れない匂いに目を開ける。
目に入ったのは自分の部屋。のはずだ。
けれど、シーツの脇に青緑の頭が見えて、一気に目が覚めた。
「!」
がば、と跳ね起きる。
いつもなら来た気配で起きるのに。
ふと目に入った窓枠に、コップが置いてあるのに気づき、匂いのもとはこれか、と納得する。
「んー?」
もそりと頭が動き、寝ぼけ眼がこちらを見る。
「あ、起きたー?」
「……何しにきた。用事なら起こせばいいだろう」
いつも以上に不機嫌な声になっていることを自覚しながら、あくびをする顔を見つめる。
「んん、珍しく寝てたから起こしたら駄目かなぁって……」
そういう遠慮は起きてる時にしてもらいたい。
出かけた言葉を飲み込んで、用事を促す。
「何だっけ? 明日は誰も来ないから、買い出しに行こうと思って」
「……それを言いに、わざわざ夜中に来るのかお前は」
「いつもならこの時間起きてるじゃない」
それはそうなのだが、と憮然とする。
「とりあえず、明日のことならまた明日来い」
「えー。僕も一緒に寝かせてよ。眠いし」
「ベッドはひとつしか無いんでな」
「大丈夫」
にっこりと笑って立ち上がると、勢い良く両手をベッドの端に振り下ろした。
同時に両足を上げる。
と、とたんにベッドが横に広がった。
広くなったベッドに着地して、ね、と笑う。
「これなら寝れるでしょ?」
そう言ってもそもそと布団に潜っていった。
「…………」
理不尽さはそれなりに理解してきたつもりだったが、まさかこう来るとは思っていなかった。
深々とため息を付いて、同じように横になる。
「……起きたら戻しておけよ」
「覚えてたらね」
はぁ、と再度ため息を付いて、大人しく布団に入り込んだ。
木の床は僅かな軋みも立てない。
真っ暗な空間を見回す。
いつもなら小さな明かりがひとつ、灯っているはずだったが、部屋の中は完全な暗闇だった。
手を伸ばせばすぐに棚に触れる。
明かりがあれば、部屋に林立する棚と、其処彼処に山と積まれた一見ガラクタと思われる物が置いてあるのが見えただろう。
けれど、一寸先すら見えない闇の中では、何があるのかすらわからない。
そんな中、迷うこと無く歩を進め、手を伸ばす。
手に触れた布を少し持ち上げてくぐり抜けると、すぐ横の木の板を軽く押した。
木の板は扉になっているため、抵抗はなかった。
するりと室内に入る。
窓から入る明かりで部屋の中は明るい。
窓際のベッドには、この家の主が眠っていた。
近くまで寄っても起きる気配はない。
(珍しい。僕が来ると大抵起きだすのに)
あまり見られない寝顔をじっと見つめ、ふと笑う。
「寝てる時くらい穏やかな顔ができないの?」
小声で呟き、眉間の皺を指先で撫でる。
「……ん……」
微かな身動ぎに手を放すが、まだ起きないようだった。
「んー、と、これだっけ?」
ごそごそと懐から数枚の葉っぱを取り出し、机の上にあった水差しからコップに注いだ水の中に入れる。
途端に部屋の中に爽やかな匂いが溢れた。
「ん、ちょっと多かったかな」
コップに薄く蓋をして、枕元に近い、窓の桟に置く。
「……良い夢を運ぶ、匂いなんだそうだよ」
笑いながら囁き、ベッドの脇に腰を下ろした。
「……?」
嗅ぎ慣れない匂いに目を開ける。
目に入ったのは自分の部屋。のはずだ。
けれど、シーツの脇に青緑の頭が見えて、一気に目が覚めた。
「!」
がば、と跳ね起きる。
いつもなら来た気配で起きるのに。
ふと目に入った窓枠に、コップが置いてあるのに気づき、匂いのもとはこれか、と納得する。
「んー?」
もそりと頭が動き、寝ぼけ眼がこちらを見る。
「あ、起きたー?」
「……何しにきた。用事なら起こせばいいだろう」
いつも以上に不機嫌な声になっていることを自覚しながら、あくびをする顔を見つめる。
「んん、珍しく寝てたから起こしたら駄目かなぁって……」
そういう遠慮は起きてる時にしてもらいたい。
出かけた言葉を飲み込んで、用事を促す。
「何だっけ? 明日は誰も来ないから、買い出しに行こうと思って」
「……それを言いに、わざわざ夜中に来るのかお前は」
「いつもならこの時間起きてるじゃない」
それはそうなのだが、と憮然とする。
「とりあえず、明日のことならまた明日来い」
「えー。僕も一緒に寝かせてよ。眠いし」
「ベッドはひとつしか無いんでな」
「大丈夫」
にっこりと笑って立ち上がると、勢い良く両手をベッドの端に振り下ろした。
同時に両足を上げる。
と、とたんにベッドが横に広がった。
広くなったベッドに着地して、ね、と笑う。
「これなら寝れるでしょ?」
そう言ってもそもそと布団に潜っていった。
「…………」
理不尽さはそれなりに理解してきたつもりだったが、まさかこう来るとは思っていなかった。
深々とため息を付いて、同じように横になる。
「……起きたら戻しておけよ」
「覚えてたらね」
はぁ、と再度ため息を付いて、大人しく布団に入り込んだ。
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