何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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「ふむ。両目が見えんのか。それは不便じゃろうて」
言って、彼は両手で頬を包み、額を合わせた。
何も見えない暗闇の中、染み入るような低い声が不安を和らげていく。
手のひらに触れるのは冷たい石の床だ。
声と視力を奪われ、何とかたどり着いたのがこの町だった。
気配で町、と知れるだけで、実際にはどこかわからない。
動く体力も、気力もなくなって路地で蹲っていると、いきなり足音が響いた。
無言でしばらく立っていたその人物は、不意に動くと彼の前に近よった。
そして今、額をつき合わせている。
「じっとしておれよ」
手のひらの温かさが、低い声が、全身に浸透していく。
「わしの、片目を貸してやろう。おぬしの声も戻しておく。唄えはせんがな」
す、と額が離れる。
それを追う様に目を開け、見えることに驚く。
視界に入ってきた人物は、痛みを堪えるような、悲しそうな目をして彼を見下ろしていた。
「おいで。こんな田舎でも、路地裏は危険じゃからな」
差し伸べられた手をとり、立ち上がろうとして、彼はそのまま意識を失った。
言って、彼は両手で頬を包み、額を合わせた。
何も見えない暗闇の中、染み入るような低い声が不安を和らげていく。
手のひらに触れるのは冷たい石の床だ。
声と視力を奪われ、何とかたどり着いたのがこの町だった。
気配で町、と知れるだけで、実際にはどこかわからない。
動く体力も、気力もなくなって路地で蹲っていると、いきなり足音が響いた。
無言でしばらく立っていたその人物は、不意に動くと彼の前に近よった。
そして今、額をつき合わせている。
「じっとしておれよ」
手のひらの温かさが、低い声が、全身に浸透していく。
「わしの、片目を貸してやろう。おぬしの声も戻しておく。唄えはせんがな」
す、と額が離れる。
それを追う様に目を開け、見えることに驚く。
視界に入ってきた人物は、痛みを堪えるような、悲しそうな目をして彼を見下ろしていた。
「おいで。こんな田舎でも、路地裏は危険じゃからな」
差し伸べられた手をとり、立ち上がろうとして、彼はそのまま意識を失った。
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