何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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ごと、と音を立てて竪琴が地面に落ちた。
けれど彼にはそれを拾う余裕はない。
苦痛に脂汗を浮かべる彼の左腕は、完全に折られていた。
「何、ソレ」
苦痛にあえぐ アリウスに、冷ややかに声を落とす。
「アリウス……!」
ど、と膝を突いた彼に走り寄ろうとして、ぎくりと凍りつく。
いつの間にか、彼が近くに立っていた。
ひょいとアリウスが落とした竪琴を拾う。
その動作さえ優雅で、つい見とれてしまう。
「僕に、敵対しようっていうのかい? 琴がなければ無力な君が!」
あざ笑うように竪琴を掲げる彼に、アリウスが厳しい視線を向ける。
「ねぇ、君。その目はどうしたの?」
静かに、彼が問う。
アリウスがぎくりと体を強張らせた。
「おかしいよねぇ? 君の両目は僕が持っているのに?」
ゆっくりと一歩、アリウスへ近づく。
触れるほど近くから見下ろし、瞳を覗き込む。
隻眼の、その瞳。
と、彼が唇の端を上げた。
残酷な喜悦に満ちた、凄絶な笑み。
「あぁ……、そうかぁ。――彼の目だね?」
そ、とひどくやわらかい手つきで、アリウスの頬をなでる。
顔は笑みの形なのに、抗うことを許さない迫力があった。
「……ッ……!」
痛みを堪え、アリウスが右手で彼の手を払う。
一瞬彼らの視線が合った。
次の瞬間、ばきんと音を立てて右手が折れた。
「――――ッ!!」
アリウスが悶絶する。
背を丸めて耐える彼を見下ろしながら、これみよがしなため息をつく。
「君は馬鹿だな。僕に逆らっても無駄だって、まだわからない? ――まぁでも許してあげるよ。……面白い、土産があることだしねぇ?」
視線が、エクエスへと移される。
「え……」
見つめられて足がすくむ。
心の奥の方で警鐘が鳴り響いている。
逃げなければ。
けれど体は魅入られたように動かない。
彼が近づくのを、ただ見ているしかできない。
彼との距離はもはや触れられるほど近い。
手が、伸びる。
「――エクエスッ!」
アリウスの切羽詰った声が響く。
視界に広がる白い肌を見ながら、はっきりと名前を呼ばれたのは初めてだな、とぼんやり考えていた。
けれど彼にはそれを拾う余裕はない。
苦痛に脂汗を浮かべる彼の左腕は、完全に折られていた。
「何、ソレ」
苦痛にあえぐ アリウスに、冷ややかに声を落とす。
「アリウス……!」
ど、と膝を突いた彼に走り寄ろうとして、ぎくりと凍りつく。
いつの間にか、彼が近くに立っていた。
ひょいとアリウスが落とした竪琴を拾う。
その動作さえ優雅で、つい見とれてしまう。
「僕に、敵対しようっていうのかい? 琴がなければ無力な君が!」
あざ笑うように竪琴を掲げる彼に、アリウスが厳しい視線を向ける。
「ねぇ、君。その目はどうしたの?」
静かに、彼が問う。
アリウスがぎくりと体を強張らせた。
「おかしいよねぇ? 君の両目は僕が持っているのに?」
ゆっくりと一歩、アリウスへ近づく。
触れるほど近くから見下ろし、瞳を覗き込む。
隻眼の、その瞳。
と、彼が唇の端を上げた。
残酷な喜悦に満ちた、凄絶な笑み。
「あぁ……、そうかぁ。――彼の目だね?」
そ、とひどくやわらかい手つきで、アリウスの頬をなでる。
顔は笑みの形なのに、抗うことを許さない迫力があった。
「……ッ……!」
痛みを堪え、アリウスが右手で彼の手を払う。
一瞬彼らの視線が合った。
次の瞬間、ばきんと音を立てて右手が折れた。
「――――ッ!!」
アリウスが悶絶する。
背を丸めて耐える彼を見下ろしながら、これみよがしなため息をつく。
「君は馬鹿だな。僕に逆らっても無駄だって、まだわからない? ――まぁでも許してあげるよ。……面白い、土産があることだしねぇ?」
視線が、エクエスへと移される。
「え……」
見つめられて足がすくむ。
心の奥の方で警鐘が鳴り響いている。
逃げなければ。
けれど体は魅入られたように動かない。
彼が近づくのを、ただ見ているしかできない。
彼との距離はもはや触れられるほど近い。
手が、伸びる。
「――エクエスッ!」
アリウスの切羽詰った声が響く。
視界に広がる白い肌を見ながら、はっきりと名前を呼ばれたのは初めてだな、とぼんやり考えていた。
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