何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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とん、と手にした棒で地面を突く。
酷く清々しく感じる朝の空気の中、彼は1人中庭にいた。
中庭は、身長と同じくらいの棒を振り回しても四方の壁に当たらないくらいの広さがある。
此処はもともとあったものではない。
血の繋がらない彼の兄弟が、開店祝いと称して創ったものだ。
本来ありえない空間を。
いともたやすく。
「……」
大きく深呼吸をすると、手に持った棒を振るう。
右に左に、回転させ、踏み込み、突きを繰り出す。
此処に居を構えてからの日課となったそれを、淡々とこなしていく。
聞こえるのは棒が風を切る音と、微かな呼気。
四方を壁に囲まれているはずの中庭に差す光が少し動いた頃、彼は直立の状態で停止した。
肺から長く息を吐く。
隅にある机に置いておいた手巾で汗をぬぐいながらその場に腰を下ろす。
中庭に吹く風が、火照った体に気持ちいい。
何気なく扉を振り返り、僅かに目を見開く。
「それ、毎日やってるの?」
この中庭を創った張本人が、音も無くその場に立っていた。
扉を開く音も、気配も無かった。
いつ、来たのだろうか。
「何の用だ。……ルシェイド」
常と変わらぬ平坦な声で問う。
さくさくと、芝を踏みながら歩み寄る彼は、いつもと違い青年の姿だった。
普段胸までしかない身長が、今は腕一本分くらいの身長差しかない。
「つれないなぁ。相変わらずだね」
緩く微笑みながら近くに来た彼は、おもむろにその場に横になった。
「……おい?」
「うん」
彼の体にくっつくように丸くなった彼は、そのまま目を閉じた。
すぐに軽い寝息が聞こえてきて、彼は起こすのを止めた。
痛ましげな視線を向け、彼は立てた棒に寄りかかるようにして目を閉じた。
酷く清々しく感じる朝の空気の中、彼は1人中庭にいた。
中庭は、身長と同じくらいの棒を振り回しても四方の壁に当たらないくらいの広さがある。
此処はもともとあったものではない。
血の繋がらない彼の兄弟が、開店祝いと称して創ったものだ。
本来ありえない空間を。
いともたやすく。
「……」
大きく深呼吸をすると、手に持った棒を振るう。
右に左に、回転させ、踏み込み、突きを繰り出す。
此処に居を構えてからの日課となったそれを、淡々とこなしていく。
聞こえるのは棒が風を切る音と、微かな呼気。
四方を壁に囲まれているはずの中庭に差す光が少し動いた頃、彼は直立の状態で停止した。
肺から長く息を吐く。
隅にある机に置いておいた手巾で汗をぬぐいながらその場に腰を下ろす。
中庭に吹く風が、火照った体に気持ちいい。
何気なく扉を振り返り、僅かに目を見開く。
「それ、毎日やってるの?」
この中庭を創った張本人が、音も無くその場に立っていた。
扉を開く音も、気配も無かった。
いつ、来たのだろうか。
「何の用だ。……ルシェイド」
常と変わらぬ平坦な声で問う。
さくさくと、芝を踏みながら歩み寄る彼は、いつもと違い青年の姿だった。
普段胸までしかない身長が、今は腕一本分くらいの身長差しかない。
「つれないなぁ。相変わらずだね」
緩く微笑みながら近くに来た彼は、おもむろにその場に横になった。
「……おい?」
「うん」
彼の体にくっつくように丸くなった彼は、そのまま目を閉じた。
すぐに軽い寝息が聞こえてきて、彼は起こすのを止めた。
痛ましげな視線を向け、彼は立てた棒に寄りかかるようにして目を閉じた。
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