何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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草を踏む音が、これほど緊張を強いられるものに感じられるのは初めてだった。
足音で探るなら、二足歩行のもの。
けれど気配の大きさから、それが魔人以外の何者でもないとはっきり感じられた。
魔人に敵う人間はいない。
できるのは、気づかれないように隠れ、興味の対象を他に移して立ち去るのを待つだけだ。
気配はしばらく留まっていたかと思うと、遠ざかるように薄れて消えた。
はぁ、と細く安堵の息を漏らす。
その途端。
「見ィつけた」
声が降ってきた。
ぎくりとして振り仰ぐと、木の幹に垂直にしゃがみこんだ人影がこちらを見下ろしていた。
物理的にありえないその現象に凍りつく。
笑顔で見下ろすその顔はひどく美しい。
すっと通った鼻梁に蠱惑的にあがった口元。
形の良い眉の下には、はっきりとした目が、鮮やかな光を放ってエクエスを凝視していた。
緩く編まれた髪は無造作なのに形よく整い、絹のように光沢を放っていた。
けれどそれは地面に向かって垂れず、彼がしゃがむ木の幹に向かって垂れている。
物理法則を無視した、美しい人外。
総じて、魔人と呼ばれるモノ。
今までこれほど近くで見たことはなかった。
体が動かない。
呼吸すら難しい。
それはくるりと身軽に地面に降り立ち、振り返る姿さえ優美に見えた。
足音で探るなら、二足歩行のもの。
けれど気配の大きさから、それが魔人以外の何者でもないとはっきり感じられた。
魔人に敵う人間はいない。
できるのは、気づかれないように隠れ、興味の対象を他に移して立ち去るのを待つだけだ。
気配はしばらく留まっていたかと思うと、遠ざかるように薄れて消えた。
はぁ、と細く安堵の息を漏らす。
その途端。
「見ィつけた」
声が降ってきた。
ぎくりとして振り仰ぐと、木の幹に垂直にしゃがみこんだ人影がこちらを見下ろしていた。
物理的にありえないその現象に凍りつく。
笑顔で見下ろすその顔はひどく美しい。
すっと通った鼻梁に蠱惑的にあがった口元。
形の良い眉の下には、はっきりとした目が、鮮やかな光を放ってエクエスを凝視していた。
緩く編まれた髪は無造作なのに形よく整い、絹のように光沢を放っていた。
けれどそれは地面に向かって垂れず、彼がしゃがむ木の幹に向かって垂れている。
物理法則を無視した、美しい人外。
総じて、魔人と呼ばれるモノ。
今までこれほど近くで見たことはなかった。
体が動かない。
呼吸すら難しい。
それはくるりと身軽に地面に降り立ち、振り返る姿さえ優美に見えた。
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