何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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こつ、と指で机を叩く。
誰かを呼んでいるわけでもない、ただの無意識の行動だ。
視線はもう片方の手に持った書類に向いている。
机を叩く指を止め、顔を上げると、苛立ちの籠った口調で吐き捨てる。
「……遅い」
はぁ、とため息を吐いて、音もなく立ち上がる。
部屋の扉に手をかけたところで、廊下を誰かが走る音が聞こえた。
「……」
この城でこんな音を立てるのは一人しかいない。
タイミングを計って思い切り押し開けた。
瞬間、開けた扉に走ってきた誰かがぶつかる衝撃があった。
「いってぇ……!」
ちりり、と小さな音とともに、薄い緑色の頭が覗いた。
顔面を抑えて呻くその姿に、一喝する。
「遅ぇ!」
顔を押さえていたウォルファーが、驚いたように顔を上げた。
「無茶言うなよ! 食堂から此処までかなりあるんだぜ!」
「つまり俺の用事より食事を優先させたわけだな」
「えっいや、そんなことは……!」
ぎくりと肩を強張らせて彼が言う。
「まぁまぁ。俺が付きあわせちゃったんだよ」
突然、にこやかな声が割って入った。
じろりと視線を向けると、バンダナを頭に巻いた青年が立っていた。
「付きあわせた?」
「そう。何とか形になったから、ライナートにもおすそ分け」
はい、と言って手に持った袋を差し出す。
反射的に受け取ってから、首をかしげる。
袋からは甘い匂い。
「……? これは?」
「試作品だよ。ちょっと試してみたいものがあってな」
「へぇ」
「美味かったよ」
「とりあえずみんなに感想聞こうと思って」
からりと笑うウォルファーと、ヒルクスを一瞥してため息をつく。
「……わかった。仕事しながらで良いならお前も入れ」
頷いて中に入るヒルクスの後ろから、ウォルファーが続こうとするのを遮る。
「? 何だよ」
「お前、俺が言っておいた書類はどうした」
「えっ……あー、あれは……その」
「お前はそれ見つけるまで戻ってくるな」
「えぇ!? そんな!」
「早くしないと全部食っちまうぞ」
にやりと意地悪く言うと、彼はあわてた様子で元来た道を走り出した。
「意地悪だねぇ」
「どうせすぐ忘れて戻ってくるさ」
短く吐き捨てて、彼の差し出すお菓子を一口食べた。
それは、ふわりとした甘い味がした。
誰かを呼んでいるわけでもない、ただの無意識の行動だ。
視線はもう片方の手に持った書類に向いている。
机を叩く指を止め、顔を上げると、苛立ちの籠った口調で吐き捨てる。
「……遅い」
はぁ、とため息を吐いて、音もなく立ち上がる。
部屋の扉に手をかけたところで、廊下を誰かが走る音が聞こえた。
「……」
この城でこんな音を立てるのは一人しかいない。
タイミングを計って思い切り押し開けた。
瞬間、開けた扉に走ってきた誰かがぶつかる衝撃があった。
「いってぇ……!」
ちりり、と小さな音とともに、薄い緑色の頭が覗いた。
顔面を抑えて呻くその姿に、一喝する。
「遅ぇ!」
顔を押さえていたウォルファーが、驚いたように顔を上げた。
「無茶言うなよ! 食堂から此処までかなりあるんだぜ!」
「つまり俺の用事より食事を優先させたわけだな」
「えっいや、そんなことは……!」
ぎくりと肩を強張らせて彼が言う。
「まぁまぁ。俺が付きあわせちゃったんだよ」
突然、にこやかな声が割って入った。
じろりと視線を向けると、バンダナを頭に巻いた青年が立っていた。
「付きあわせた?」
「そう。何とか形になったから、ライナートにもおすそ分け」
はい、と言って手に持った袋を差し出す。
反射的に受け取ってから、首をかしげる。
袋からは甘い匂い。
「……? これは?」
「試作品だよ。ちょっと試してみたいものがあってな」
「へぇ」
「美味かったよ」
「とりあえずみんなに感想聞こうと思って」
からりと笑うウォルファーと、ヒルクスを一瞥してため息をつく。
「……わかった。仕事しながらで良いならお前も入れ」
頷いて中に入るヒルクスの後ろから、ウォルファーが続こうとするのを遮る。
「? 何だよ」
「お前、俺が言っておいた書類はどうした」
「えっ……あー、あれは……その」
「お前はそれ見つけるまで戻ってくるな」
「えぇ!? そんな!」
「早くしないと全部食っちまうぞ」
にやりと意地悪く言うと、彼はあわてた様子で元来た道を走り出した。
「意地悪だねぇ」
「どうせすぐ忘れて戻ってくるさ」
短く吐き捨てて、彼の差し出すお菓子を一口食べた。
それは、ふわりとした甘い味がした。
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