何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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「私はね。自分が死ぬことに恐怖は無い。ただ、それを悲しむ人がいないようにと思うだけだよ」
ぽつり、と呟いたのは何時のことだっただろう。
その時私の隣には彼が居て、いつもと同じような口調で短く笑った。
「青臭ェ理想論なんざ言ってんじゃねぇよ。それが叶わねェことくらい、てめェが一番良く知ってんだろうが」
「だからだよ。だからこそ、あの二人が何処まで行けるのか、見てみたいじゃないか」
視線は遠く。
空の向こうまでは見通せないのだけれど。
緩く吹く風に髪が煽られる。
喧騒は此処まで届かない。
血の臭いも、此処ではすべてが遠い。
「……そういうもんかね」
呆れたように、彼がため息を吐く。
「そんなものだよ。死体を見るのに飽きたのは君だけじゃないのだから」
「まぁな。けど、何処も彼処も死体だらけだってのに、まだ止めようとしねェのが人間らしいとは思うがな」
「まぁ否定はしないよ」
苦笑して、視線を落とす。
今、立っている場所より少し下には、此処まで行軍してきた部下達が野営をしている。
「……アンスリウム」
静かに囁くように、けれどはっきりと、彼が名を呼んだ。
振り向いた視線の先で、彼が言う。
「時間だ。そろそろ行かねぇと」
彼の目が酷く悲しそうに揺れていると感じるのは、きっと今の自分が不安定になっているからだ。
「……ラクス。あの二人を、助けてあげてくれ」
通り過ぎ様、それだけを言う。
「……ッ……てめェが助けろよ!」
背後から、彼が怒鳴る。
口元に淡く笑みが浮かんでいた。
私はあの声に、振り向かなかった。
ぽつり、と呟いたのは何時のことだっただろう。
その時私の隣には彼が居て、いつもと同じような口調で短く笑った。
「青臭ェ理想論なんざ言ってんじゃねぇよ。それが叶わねェことくらい、てめェが一番良く知ってんだろうが」
「だからだよ。だからこそ、あの二人が何処まで行けるのか、見てみたいじゃないか」
視線は遠く。
空の向こうまでは見通せないのだけれど。
緩く吹く風に髪が煽られる。
喧騒は此処まで届かない。
血の臭いも、此処ではすべてが遠い。
「……そういうもんかね」
呆れたように、彼がため息を吐く。
「そんなものだよ。死体を見るのに飽きたのは君だけじゃないのだから」
「まぁな。けど、何処も彼処も死体だらけだってのに、まだ止めようとしねェのが人間らしいとは思うがな」
「まぁ否定はしないよ」
苦笑して、視線を落とす。
今、立っている場所より少し下には、此処まで行軍してきた部下達が野営をしている。
「……アンスリウム」
静かに囁くように、けれどはっきりと、彼が名を呼んだ。
振り向いた視線の先で、彼が言う。
「時間だ。そろそろ行かねぇと」
彼の目が酷く悲しそうに揺れていると感じるのは、きっと今の自分が不安定になっているからだ。
「……ラクス。あの二人を、助けてあげてくれ」
通り過ぎ様、それだけを言う。
「……ッ……てめェが助けろよ!」
背後から、彼が怒鳴る。
口元に淡く笑みが浮かんでいた。
私はあの声に、振り向かなかった。
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