何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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息が切れる。
手足はもう棒のようで、感覚がほとんどなくなってしまった。
逃げ出してからずっと走っている。
一緒に逃げた子供たちは、その大半が途中で脱落していった。
子供の体力では、ずっと走り続けることは難しい。
母親を、置いてきてしまった。
彼女は連れて行かれた時に足の腱を切られた。
子供の自分では、担いで逃げることはできない。
それに、彼女はもう誰のこともわからない。
逃げよう、と言ってもただ首をかしげて、微笑んでいるだけだった。
大声で泣きたい気持ちを堪える。
そんなことをしたら追っ手に居場所を伝えるようなものだ。
それでも、とうとう走っていられなくなって近くの木にもたれかかる。
走ってきた方を振り返った。
誰もいない。
全身から血の気が引いていく。
誰も、いないなんて。
一緒に走っていた子供たちがいたはずだ。
この辺は深い森ではない。
なのに、人影は一つも見当たらなかった。
自分の迂闊さにどうしようか迷っていると、背後で物音がした。
「!」
驚いて振り返る。
そこに立っていたのは、壮年の男だった。
「これは驚いた。こんなところでどうしたね?」
柔らかな笑顔で尋ねられる。
その声に含まれた労りの感情に、膝が崩れた。
慌てる声を聞きながら、意識は遠ざかっていった。
手足はもう棒のようで、感覚がほとんどなくなってしまった。
逃げ出してからずっと走っている。
一緒に逃げた子供たちは、その大半が途中で脱落していった。
子供の体力では、ずっと走り続けることは難しい。
母親を、置いてきてしまった。
彼女は連れて行かれた時に足の腱を切られた。
子供の自分では、担いで逃げることはできない。
それに、彼女はもう誰のこともわからない。
逃げよう、と言ってもただ首をかしげて、微笑んでいるだけだった。
大声で泣きたい気持ちを堪える。
そんなことをしたら追っ手に居場所を伝えるようなものだ。
それでも、とうとう走っていられなくなって近くの木にもたれかかる。
走ってきた方を振り返った。
誰もいない。
全身から血の気が引いていく。
誰も、いないなんて。
一緒に走っていた子供たちがいたはずだ。
この辺は深い森ではない。
なのに、人影は一つも見当たらなかった。
自分の迂闊さにどうしようか迷っていると、背後で物音がした。
「!」
驚いて振り返る。
そこに立っていたのは、壮年の男だった。
「これは驚いた。こんなところでどうしたね?」
柔らかな笑顔で尋ねられる。
その声に含まれた労りの感情に、膝が崩れた。
慌てる声を聞きながら、意識は遠ざかっていった。
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