何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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空の青さが目に痛い。
ふわふわした雲はゆっくりと時間を掛けて形を崩していく。
風はあまり無い。
暖かな日差しを全身に浴びながら、目を閉じて息を吐く。
次に開けた時、視界の隅に黒い髪が踊っていた。
「……」
さらさらそよぐ髪に誘われるように手を伸ばす。
緩いウェーブの髪を指に巻きつけ、弄ぶと、上から笑い声が降ってきた。
「引っぱらないでよ」
その言葉に笑い返し、指を離す。
風が髪を靡かせる。
見るともなしに見ながら、目を閉じた。
瞼の裏には光がちらちらと舞っている。
ゆっくりと呼吸をする。
吸って、吐いて。
繰り返しているとふわふわと意識が漂いそうになる。
「眠ったの?」
その声を聞きながら、心地よい眠りに落ちていった。
ふわふわした雲はゆっくりと時間を掛けて形を崩していく。
風はあまり無い。
暖かな日差しを全身に浴びながら、目を閉じて息を吐く。
次に開けた時、視界の隅に黒い髪が踊っていた。
「……」
さらさらそよぐ髪に誘われるように手を伸ばす。
緩いウェーブの髪を指に巻きつけ、弄ぶと、上から笑い声が降ってきた。
「引っぱらないでよ」
その言葉に笑い返し、指を離す。
風が髪を靡かせる。
見るともなしに見ながら、目を閉じた。
瞼の裏には光がちらちらと舞っている。
ゆっくりと呼吸をする。
吸って、吐いて。
繰り返しているとふわふわと意識が漂いそうになる。
「眠ったの?」
その声を聞きながら、心地よい眠りに落ちていった。
射竦められた、と思った。
身体が硬直する。
目の前にいるのは一人の人間。
すらりと細い人影の、眼差しに射られただけで動けない。
たかが人間。
なのに。
殺意でもない。
敵意でもない。
ただ圧倒されるほどの覇気。
喉の奥で唸る。
それさえも、気力が必要なほど。
怯え?
人間に?
俺が!
眼差しに力を込めて睨み返す。
じり、と間合いをつめた。
背を向ければ死ぬ。
そんな雰囲気があった。
人影が、ゆらり、と動いた。
「!」
動揺を表に出すまいとしながらじっと動作を観察する。
「……お前」
人影が不意に声を発した。
覇気はそのまま。
揺ぎ無い足取りで一歩踏み出す。
思わず、その分だけ後ろに下がった。
そして下がった事に舌打ちをしたい気分にかられる。
人影はもう一歩踏み出すと、不意に覇気を緩めた。
「お前、意識があるのか」
「……?」
つられて、怪訝そうに警戒を緩める。
踏込まれれば対処できる距離。
けれど、その意思は無さそうだった。
柄に掛かっていた手を外すと、人影は両手を上げながら近づいてきた。
「敵対する意思は無いよ」
言葉どおり、覇気は跡形も無い。
それでも理由がわからず、ゆるりと円を描くように歩を進めた。
「話がしたい、だけなんだ」
思わず、足が止まっていた。
思いもかけない言葉に、目を見開く。
人影は微笑んで、視線を合わせた。
「私はレヴィアール。君は?」
先程までの射るような視線ではない、柔らかな瞳。
けれど、つられるように答えていた。
「……オルカーン」
身体が硬直する。
目の前にいるのは一人の人間。
すらりと細い人影の、眼差しに射られただけで動けない。
たかが人間。
なのに。
殺意でもない。
敵意でもない。
ただ圧倒されるほどの覇気。
喉の奥で唸る。
それさえも、気力が必要なほど。
怯え?
人間に?
俺が!
眼差しに力を込めて睨み返す。
じり、と間合いをつめた。
背を向ければ死ぬ。
そんな雰囲気があった。
人影が、ゆらり、と動いた。
「!」
動揺を表に出すまいとしながらじっと動作を観察する。
「……お前」
人影が不意に声を発した。
覇気はそのまま。
揺ぎ無い足取りで一歩踏み出す。
思わず、その分だけ後ろに下がった。
そして下がった事に舌打ちをしたい気分にかられる。
人影はもう一歩踏み出すと、不意に覇気を緩めた。
「お前、意識があるのか」
「……?」
つられて、怪訝そうに警戒を緩める。
踏込まれれば対処できる距離。
けれど、その意思は無さそうだった。
柄に掛かっていた手を外すと、人影は両手を上げながら近づいてきた。
「敵対する意思は無いよ」
言葉どおり、覇気は跡形も無い。
それでも理由がわからず、ゆるりと円を描くように歩を進めた。
「話がしたい、だけなんだ」
思わず、足が止まっていた。
思いもかけない言葉に、目を見開く。
人影は微笑んで、視線を合わせた。
「私はレヴィアール。君は?」
先程までの射るような視線ではない、柔らかな瞳。
けれど、つられるように答えていた。
「……オルカーン」
自分の呼吸音が耳障りだ。
破裂しそうな心臓を抱え、足を交互に動かす。
歩く、なんて悠長な事はしていられない。
振り返れない。
隣を、後ろを走る足音を聞きながら、ただひたすら前へと走った。
走りつづけていくうちに、一人、また一人と足音が消えていく。
恐怖に足が竦みそうだ。
けれど立ち止まれば、死を覚悟しなければならない。
否。
死んだほうがましかもしれない。
あんな所に戻るのなら。
破裂しそうな心臓を抱え、足を交互に動かす。
歩く、なんて悠長な事はしていられない。
振り返れない。
隣を、後ろを走る足音を聞きながら、ただひたすら前へと走った。
走りつづけていくうちに、一人、また一人と足音が消えていく。
恐怖に足が竦みそうだ。
けれど立ち止まれば、死を覚悟しなければならない。
否。
死んだほうがましかもしれない。
あんな所に戻るのなら。
歌。
誰が。
かすみがかった意識を浮上させる。
はっきりしない。
でも。
何だろうこの歌。
懐かしい?
聞いた事があるような気がする。
昔の事なんて、何一つ覚えていないのに。
靄が掛かったような視界を何度か瞬きをしてクリアにすると、目の前、少し離れたところに犬に似た獣が座っているのが見えた。
ふ、と歌が途切れ、獣がこちらを向く。
赤い、目が三つ。
「起きた?」
この、声だ。
歌っていた声。
少しかすれた。
ぱさりと揺れる尻尾は二本。
茶色の毛並みは波打つように綺麗だ。
「まだ寝てるんじゃないか?」
別の声が響く。
体が固まっていてそちらを見れないが、敵意のある声ではなかった。
うと、とまた意識が沈む。
「うーん。眠いみたいだ」
獣が僅かに首をかしげる。
その声を聞いて、目を閉じた。
誰が。
かすみがかった意識を浮上させる。
はっきりしない。
でも。
何だろうこの歌。
懐かしい?
聞いた事があるような気がする。
昔の事なんて、何一つ覚えていないのに。
靄が掛かったような視界を何度か瞬きをしてクリアにすると、目の前、少し離れたところに犬に似た獣が座っているのが見えた。
ふ、と歌が途切れ、獣がこちらを向く。
赤い、目が三つ。
「起きた?」
この、声だ。
歌っていた声。
少しかすれた。
ぱさりと揺れる尻尾は二本。
茶色の毛並みは波打つように綺麗だ。
「まだ寝てるんじゃないか?」
別の声が響く。
体が固まっていてそちらを見れないが、敵意のある声ではなかった。
うと、とまた意識が沈む。
「うーん。眠いみたいだ」
獣が僅かに首をかしげる。
その声を聞いて、目を閉じた。
「歪みを招くって、知ってたのか」
詰問するような彼の口調に、半ば自嘲気味に答える。
「知ってたよ。でも、それが何の違いを生むって言うの?」
挑戦的な眼差しを受け、彼は声を張った。
「違い、だと!? 自分の役目を忘れたのか!」
「忘れていない。全て承知の上で、僕は彼を連れて行ったんだもの」
彼はあまりのことに声が出ないようだった。
それはそうだろう。
僕のした事は、自身の存在理由を裏切った事に他ならないのだから。
「お前には、制約があるんじゃないのか」
「あるよ」
「なら、何故」
「できたかって?」
言葉尻を捕らえ、問い返す。
口をつぐんだ彼に笑いかけた。
いつもと同じような、表情を心がけて。
「フォリィアを神界に連れて行ったところで、歪みが派生する余裕は殆ど無かったからだよ」
彼はひどく辛そうな表情で、視線を下に落とした。
「予見どおり、そして流れどおり、もはやこの世界を支えるものは何一つ無い」
ぎくりと、彼が顔を上げる。
「私が彼を殺した時、まだあの地はあったはずだ」
「それなら僕が手を下してきた。あの地はもはや跡形も無い」
告げる、表情は笑顔のまま。
短くは無い時間をすごした。
者を、手にかけてきたと。
僕は上手く、笑顔が作れているだろうか。
詰問するような彼の口調に、半ば自嘲気味に答える。
「知ってたよ。でも、それが何の違いを生むって言うの?」
挑戦的な眼差しを受け、彼は声を張った。
「違い、だと!? 自分の役目を忘れたのか!」
「忘れていない。全て承知の上で、僕は彼を連れて行ったんだもの」
彼はあまりのことに声が出ないようだった。
それはそうだろう。
僕のした事は、自身の存在理由を裏切った事に他ならないのだから。
「お前には、制約があるんじゃないのか」
「あるよ」
「なら、何故」
「できたかって?」
言葉尻を捕らえ、問い返す。
口をつぐんだ彼に笑いかけた。
いつもと同じような、表情を心がけて。
「フォリィアを神界に連れて行ったところで、歪みが派生する余裕は殆ど無かったからだよ」
彼はひどく辛そうな表情で、視線を下に落とした。
「予見どおり、そして流れどおり、もはやこの世界を支えるものは何一つ無い」
ぎくりと、彼が顔を上げる。
「私が彼を殺した時、まだあの地はあったはずだ」
「それなら僕が手を下してきた。あの地はもはや跡形も無い」
告げる、表情は笑顔のまま。
短くは無い時間をすごした。
者を、手にかけてきたと。
僕は上手く、笑顔が作れているだろうか。