何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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「やっぱり、俺が先か」
寝起きの第一声がそれだった。
熟睡しているとばかり思っていたので、火にくべようとした薪を持ったまま彼を見つめる。
彼は徐に起き上がると、毛布を膝に落としてあぐらをかいた。
「先、とは?」
好奇心を抑えられずに問いを放つ。
彼はそれに答えず、周りを見回すとぼんやりと聞いた。
「ファルは?」
「見回りに行く、と先程」
「ふぅん」
くぁ、とあくびをして、彼はほんの少し俯いて火を見つめた。
先程の問いを繰り返そうと口を開くと、彼が唐突に言った。
「多分……3年以内なんだ」
きょとん、と首を傾げて彼を見る。
彼は視線を上げた。
火の光を浴びて、金の目がちらりと光る。
「俺が死ぬのが」
彼を見つめ、シェセルはそう呟いた。
---
「知って、いたんですか?」
問うと、彼はいつものように淡々と答えた。
「えぇ。おそらくは、彼よりも前に」
彼と居るとき以外、目の前に立つ人物はめったに表情を変えない。
けれどこんな時ですら。
そう思うと頭に血が上るようだった。
「知って、居ながら……!」
「何が、できるんですか……! 貴方に、――私に!」
無表情をかなぐり捨てて、彼は抑えた声で怒鳴る。
「彼は存在自体が歪みです。覆すなら、相応の覚悟を追わねばならない。それは、貴方も知ったはずでしょう」
激情を抑え、けれど瞳に力を込めて、彼がにらみつける。
言われた事に、込められた想いに、歯噛みをして視線を落とす。
そんな事は分かっている。
けれど。
「……どうした?」
がさり、と音を立てて戻ってきた彼へ、二人して視線を合わせる。
「何かあったのか、ファル。……マルヴェーリ?」
怪訝そうに問うシェセルに、何でもないと返す。
彼は特に問いただすでもなく一言、そうか、とだけ言った。
「もうしばらく行けば街道に出る。そこから半日もすれば町が見えるだろう」
指差しながら言われ、マルヴェーリは手早く荷物を片付ける。
通り過ぎざま、シェセルはアルファルの頭を二度、軽く叩いた。
寝起きの第一声がそれだった。
熟睡しているとばかり思っていたので、火にくべようとした薪を持ったまま彼を見つめる。
彼は徐に起き上がると、毛布を膝に落としてあぐらをかいた。
「先、とは?」
好奇心を抑えられずに問いを放つ。
彼はそれに答えず、周りを見回すとぼんやりと聞いた。
「ファルは?」
「見回りに行く、と先程」
「ふぅん」
くぁ、とあくびをして、彼はほんの少し俯いて火を見つめた。
先程の問いを繰り返そうと口を開くと、彼が唐突に言った。
「多分……3年以内なんだ」
きょとん、と首を傾げて彼を見る。
彼は視線を上げた。
火の光を浴びて、金の目がちらりと光る。
「俺が死ぬのが」
彼を見つめ、シェセルはそう呟いた。
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「知って、いたんですか?」
問うと、彼はいつものように淡々と答えた。
「えぇ。おそらくは、彼よりも前に」
彼と居るとき以外、目の前に立つ人物はめったに表情を変えない。
けれどこんな時ですら。
そう思うと頭に血が上るようだった。
「知って、居ながら……!」
「何が、できるんですか……! 貴方に、――私に!」
無表情をかなぐり捨てて、彼は抑えた声で怒鳴る。
「彼は存在自体が歪みです。覆すなら、相応の覚悟を追わねばならない。それは、貴方も知ったはずでしょう」
激情を抑え、けれど瞳に力を込めて、彼がにらみつける。
言われた事に、込められた想いに、歯噛みをして視線を落とす。
そんな事は分かっている。
けれど。
「……どうした?」
がさり、と音を立てて戻ってきた彼へ、二人して視線を合わせる。
「何かあったのか、ファル。……マルヴェーリ?」
怪訝そうに問うシェセルに、何でもないと返す。
彼は特に問いただすでもなく一言、そうか、とだけ言った。
「もうしばらく行けば街道に出る。そこから半日もすれば町が見えるだろう」
指差しながら言われ、マルヴェーリは手早く荷物を片付ける。
通り過ぎざま、シェセルはアルファルの頭を二度、軽く叩いた。