何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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ごとん、と音を立てて荷物を降ろす。
中身は衝撃に弱いものではない。
多少粗雑に扱っても問題は無いものだ。
一息ついて、部屋を見回す。
薄汚れた部屋には、棚が林立していて、ところどころに開けていない箱が置いてあった。
明り取り用の窓も無いその部屋は、四隅に置いたランプで何とか見えるくらいにはなっている。
表に置いてあった箱を全て部屋の中に移すと、一番手近にある箱から開けていく。
中に何が入っているかは大体把握しているが、外からでは同じ箱ばかりでよく分からない。
仕方なしに、空けた中身を取り出しては棚に移していく。
最初の一つは壜だった。
中には様々な色の液体や葉や石が入っている。
道理で重たかったわけだ。
ため息をつきながらそれらを全て棚に出すと、次の箱に向かう。
こちらの箱は布だった。
各種生地と、彩りは全て違う。
布だから一枚は軽いが、箱いっぱいに入っているとそれなりに重い。
同じように棚に移す。
そうやって半分ほどの箱を空き箱にしたところで、外に通じる扉と反対側にある扉が開いた。
ランプの明かりに照らされた顔を見て、怪訝そうな表情を向ける。
「手伝おうか?」
そう言った訪問者は空いていない箱を指差して首を傾げる。
「……いや、良い。何か用か、ルシェイド」
自分のものに比べて遥かに細い少年の腕を見て断ると、ルシェイドは眉をしかめて大きな机に座った。
「折角親切で言ってるのに。下心なんて無いよ」
「……そうじゃない」
言いかけたが、上手い言葉が出てこなくてまた黙々と作業を開始した。
「君が店を始めるって聞いたときは素直に驚いたけど、……内装を見てさらに驚きだね。何の店?」
呆れたような声で、箱の一つから小さな箱を取り出す。
何だこれ、と呟きながら箱を開けようとする。
けれど。
「……これどうやって空けんの?」
空け口が見つからなかったのか、ルシェイドは困惑して作業をする彼の元へきた。
差し出された箱を見て、彼はおもむろに箱の一面をスライドさせた。
それに連動していくつかを移動し、引き出しのように中を開ける。
中からは小さなちりめん袋が転がり出てきた。
ほのかな良い香りがする。
「へぇ、良い香り。これはセットなんだ?」
「いや別に。箱は細工箱だ。中の袋は、西の大陸で買った」
淡々と説明をして、箱をルシェイドに戻す。
返してもらった箱を繁々と眺めて、元通りの箱に戻すと、それを棚に置いた。
また机に座りなおす。
「ディリク……何故、店をやろうと思ったの?」
不意に、沈んだような平坦な声で問われ、ディリクが動きを止める。
暫くの思案のあと、彼は口を開いた。
「言ったはずだ。理由など無いと。私には先見の力は無い。――ルシェイド、お前が何を視たのかは知らないが、やらない方が良い理由があるのか?」
逆に問うと、ルシェイドは一瞬目を伏せるといつものように笑った。
「そんなこと無いよ。いっぱいお客さん来ると良いね」
「繁盛させるのが目的なら裏道に店など構えない」
表情に出ないようにと殊更憮然とした表情をして、ディリクが皮肉を返す。
ルシェイドは、そうだね、と言って笑った。
出会った時から、見た目は殆ど変わらない。
少年から青年の姿を行ったり来たりするのは見ているが、それだけだ。
貼りついたような笑顔は、正直好きではない。
何もかも閉じ込めてしまっているような気がするからだ。
そんな思いもきっと分かっているのだろう。
ルシェイドは少し困ったように笑うと、勢いをつけて机から飛び降りた。
「それじゃあね。次は開店してから来るよ」
言って手を振ると、ディリクの返事を待たずにその場から姿を消した。
そういえば、最初に会った頃はディリクの方が背が低く、あんな笑顔もしなかったのに、と、ルシェイドが消えた場所をぼんやり見ながら思った。
中身は衝撃に弱いものではない。
多少粗雑に扱っても問題は無いものだ。
一息ついて、部屋を見回す。
薄汚れた部屋には、棚が林立していて、ところどころに開けていない箱が置いてあった。
明り取り用の窓も無いその部屋は、四隅に置いたランプで何とか見えるくらいにはなっている。
表に置いてあった箱を全て部屋の中に移すと、一番手近にある箱から開けていく。
中に何が入っているかは大体把握しているが、外からでは同じ箱ばかりでよく分からない。
仕方なしに、空けた中身を取り出しては棚に移していく。
最初の一つは壜だった。
中には様々な色の液体や葉や石が入っている。
道理で重たかったわけだ。
ため息をつきながらそれらを全て棚に出すと、次の箱に向かう。
こちらの箱は布だった。
各種生地と、彩りは全て違う。
布だから一枚は軽いが、箱いっぱいに入っているとそれなりに重い。
同じように棚に移す。
そうやって半分ほどの箱を空き箱にしたところで、外に通じる扉と反対側にある扉が開いた。
ランプの明かりに照らされた顔を見て、怪訝そうな表情を向ける。
「手伝おうか?」
そう言った訪問者は空いていない箱を指差して首を傾げる。
「……いや、良い。何か用か、ルシェイド」
自分のものに比べて遥かに細い少年の腕を見て断ると、ルシェイドは眉をしかめて大きな机に座った。
「折角親切で言ってるのに。下心なんて無いよ」
「……そうじゃない」
言いかけたが、上手い言葉が出てこなくてまた黙々と作業を開始した。
「君が店を始めるって聞いたときは素直に驚いたけど、……内装を見てさらに驚きだね。何の店?」
呆れたような声で、箱の一つから小さな箱を取り出す。
何だこれ、と呟きながら箱を開けようとする。
けれど。
「……これどうやって空けんの?」
空け口が見つからなかったのか、ルシェイドは困惑して作業をする彼の元へきた。
差し出された箱を見て、彼はおもむろに箱の一面をスライドさせた。
それに連動していくつかを移動し、引き出しのように中を開ける。
中からは小さなちりめん袋が転がり出てきた。
ほのかな良い香りがする。
「へぇ、良い香り。これはセットなんだ?」
「いや別に。箱は細工箱だ。中の袋は、西の大陸で買った」
淡々と説明をして、箱をルシェイドに戻す。
返してもらった箱を繁々と眺めて、元通りの箱に戻すと、それを棚に置いた。
また机に座りなおす。
「ディリク……何故、店をやろうと思ったの?」
不意に、沈んだような平坦な声で問われ、ディリクが動きを止める。
暫くの思案のあと、彼は口を開いた。
「言ったはずだ。理由など無いと。私には先見の力は無い。――ルシェイド、お前が何を視たのかは知らないが、やらない方が良い理由があるのか?」
逆に問うと、ルシェイドは一瞬目を伏せるといつものように笑った。
「そんなこと無いよ。いっぱいお客さん来ると良いね」
「繁盛させるのが目的なら裏道に店など構えない」
表情に出ないようにと殊更憮然とした表情をして、ディリクが皮肉を返す。
ルシェイドは、そうだね、と言って笑った。
出会った時から、見た目は殆ど変わらない。
少年から青年の姿を行ったり来たりするのは見ているが、それだけだ。
貼りついたような笑顔は、正直好きではない。
何もかも閉じ込めてしまっているような気がするからだ。
そんな思いもきっと分かっているのだろう。
ルシェイドは少し困ったように笑うと、勢いをつけて机から飛び降りた。
「それじゃあね。次は開店してから来るよ」
言って手を振ると、ディリクの返事を待たずにその場から姿を消した。
そういえば、最初に会った頃はディリクの方が背が低く、あんな笑顔もしなかったのに、と、ルシェイドが消えた場所をぼんやり見ながら思った。
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