何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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わぁ、と声が上がった。
歓声ではない。
恐怖の混じった、悲鳴だ。
「魔獣だ――……」
聞こえた言葉にぴくりと顔を上げる。
街道の前方から、何人かが駆けてきた。
躊躇いもせず、流れに逆らって走り出す。
程なく、大気に血臭が混じり始めた。
逃げる人影はすでに遠い。
がさり、と鳴った草むらに視線を走らせる。
音との距離は少し遠い。
街道を離れ、その音に向かって音も立てずに走った。
「!」
僅かに開けた場所には、血溜りが広がっていた。
その中にところどころ混じる獣の毛に、人が襲われたわけではないのかと思う。
そのまま視線を上げようとして、凍りつく。
何か、いる。
押し殺した、けれど存在を主張する、気配。
それは忍び寄る冷気のように気がつけばその場を満たしていた。
萎縮しそうな体を、ゆっくりと呼吸することで正常に戻す。
気配の元は右斜め前方。
草むらに隠れて、姿は見えない。
呼吸に合わせてそちらに視線を据え、左手で剣を抜き放つ。
ためていた息を吐き出した瞬間、それはこちらに飛び出してきた。
振り下ろされた爪をかろうじて剣で受け止め、後ろに流す。
体重を殆ど感じさせないしなやかな動きでそれは地面に降り立つ。
薄い茶色の毛並み。
赤い目は鮮やかな血色をしている。
額に目があることと、尾が二つに分かれていることで、魔獣だと分かる。
背の高さは四足の状態で腰くらいあった。
じり、と間合いをつめる。
何度目かの呼吸の後、短く息を吐いて一歩を踏み出す。
その勢いのまま大きく踏み込んで刃を振り下ろす。
それが獣に触れる寸前、獣はするりと避けて背後に回った。
「……!」
振り向こうとした瞬間に足元を払われた。
倒れた衝撃で息が詰まる。
その上に、獣が前足を乗せて動きを封じた。
剣は倒れた時に手から離れてしまっている。
武器はまだあるが、今の状況では獣が足に力を入れるほうが早い。
せめてもの抵抗と、目の前にある顔を睨みつけた。
歓声ではない。
恐怖の混じった、悲鳴だ。
「魔獣だ――……」
聞こえた言葉にぴくりと顔を上げる。
街道の前方から、何人かが駆けてきた。
躊躇いもせず、流れに逆らって走り出す。
程なく、大気に血臭が混じり始めた。
逃げる人影はすでに遠い。
がさり、と鳴った草むらに視線を走らせる。
音との距離は少し遠い。
街道を離れ、その音に向かって音も立てずに走った。
「!」
僅かに開けた場所には、血溜りが広がっていた。
その中にところどころ混じる獣の毛に、人が襲われたわけではないのかと思う。
そのまま視線を上げようとして、凍りつく。
何か、いる。
押し殺した、けれど存在を主張する、気配。
それは忍び寄る冷気のように気がつけばその場を満たしていた。
萎縮しそうな体を、ゆっくりと呼吸することで正常に戻す。
気配の元は右斜め前方。
草むらに隠れて、姿は見えない。
呼吸に合わせてそちらに視線を据え、左手で剣を抜き放つ。
ためていた息を吐き出した瞬間、それはこちらに飛び出してきた。
振り下ろされた爪をかろうじて剣で受け止め、後ろに流す。
体重を殆ど感じさせないしなやかな動きでそれは地面に降り立つ。
薄い茶色の毛並み。
赤い目は鮮やかな血色をしている。
額に目があることと、尾が二つに分かれていることで、魔獣だと分かる。
背の高さは四足の状態で腰くらいあった。
じり、と間合いをつめる。
何度目かの呼吸の後、短く息を吐いて一歩を踏み出す。
その勢いのまま大きく踏み込んで刃を振り下ろす。
それが獣に触れる寸前、獣はするりと避けて背後に回った。
「……!」
振り向こうとした瞬間に足元を払われた。
倒れた衝撃で息が詰まる。
その上に、獣が前足を乗せて動きを封じた。
剣は倒れた時に手から離れてしまっている。
武器はまだあるが、今の状況では獣が足に力を入れるほうが早い。
せめてもの抵抗と、目の前にある顔を睨みつけた。
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