何かいろいろ創作物を入れていこうと思います。広告変更してみた。
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ばたり、と縁側で寝転ぶ。
今日も外はいい天気だ。
「あー、なんもやる気しねー」
日差しから手でかばいながらぼやく。
「あいつは出かけたまま戻らないし、今日はもうのんびりしよう」
よしそうしよう、と目を閉じる。
緩やかに、風が吹いた。
そのまままどろむようにごろごろしていると、不意に日が翳った。
まぶしさに薄く目を開けると、太陽を背にしてこちらを見下ろす影があった。
「……具合悪いの?」
「いや? 今日はごろごろするんだ」
言い捨ててごろりと横を向く。
けれど。
「なら良かった。ちょっと来て欲しいのよ」
「お前俺の話し聞いてた?」
「聞いてたわよ。具合は悪くないんでしょ?」
「そうだけど。……いやそうじゃなくて!」
「良いからほら行くわよ」
有無を言わせず手をつかみ立ち上がらせようとするのに抵抗する。
「離せ!」
「もう、しょうがないなぁ」
困ったようにため息をつくと、掴んだ腕をそのままぐいと引っ張って肩に担ぎ上げた。
「あれ、軽くなった?」
「ばっ……おろせ!」
「暴れたら振り回すわよ」
アリアはさらりと笑顔で言ってアィルを黙らせた。
今日も外はいい天気だ。
「あー、なんもやる気しねー」
日差しから手でかばいながらぼやく。
「あいつは出かけたまま戻らないし、今日はもうのんびりしよう」
よしそうしよう、と目を閉じる。
緩やかに、風が吹いた。
そのまままどろむようにごろごろしていると、不意に日が翳った。
まぶしさに薄く目を開けると、太陽を背にしてこちらを見下ろす影があった。
「……具合悪いの?」
「いや? 今日はごろごろするんだ」
言い捨ててごろりと横を向く。
けれど。
「なら良かった。ちょっと来て欲しいのよ」
「お前俺の話し聞いてた?」
「聞いてたわよ。具合は悪くないんでしょ?」
「そうだけど。……いやそうじゃなくて!」
「良いからほら行くわよ」
有無を言わせず手をつかみ立ち上がらせようとするのに抵抗する。
「離せ!」
「もう、しょうがないなぁ」
困ったようにため息をつくと、掴んだ腕をそのままぐいと引っ張って肩に担ぎ上げた。
「あれ、軽くなった?」
「ばっ……おろせ!」
「暴れたら振り回すわよ」
アリアはさらりと笑顔で言ってアィルを黙らせた。
「それで、返事はしたの?」
「え」
ぎく、として動きを止める。
最近一番の悩み事だ。
手に持っていた縄を意味もなく結びながら、視線をそらす。
はぁ、とため息をついて近寄ると、その縄を没収する。
「東旭。受けるにしても断るにしても、ちゃんと考えな。あと返事は早くね」
「う……」
困ったように俯き、足元を見た。
何の変哲もない、砂地だ。
「うん……」
小さく頷いて、顔を上げた。
「わかった。……なるべく早く、返事するよ。冬杣」
-------------
「有難うございます」
「何が?」
にこにこと礼を言った男を一瞥して、簡潔に帰す。
「東旭サンに、後押しをしてくださったそうで」
「……あぁ、別に」
冬杣は男の顔をじっと見てから、にやりと笑った。
「その様子じゃ良い返事をもらえたみたいじゃないか。良かったな」
「ハイ」
「え」
ぎく、として動きを止める。
最近一番の悩み事だ。
手に持っていた縄を意味もなく結びながら、視線をそらす。
はぁ、とため息をついて近寄ると、その縄を没収する。
「東旭。受けるにしても断るにしても、ちゃんと考えな。あと返事は早くね」
「う……」
困ったように俯き、足元を見た。
何の変哲もない、砂地だ。
「うん……」
小さく頷いて、顔を上げた。
「わかった。……なるべく早く、返事するよ。冬杣」
-------------
「有難うございます」
「何が?」
にこにこと礼を言った男を一瞥して、簡潔に帰す。
「東旭サンに、後押しをしてくださったそうで」
「……あぁ、別に」
冬杣は男の顔をじっと見てから、にやりと笑った。
「その様子じゃ良い返事をもらえたみたいじゃないか。良かったな」
「ハイ」
ごと、と荷物を床に下ろす。
重い音がするのは、中に瓶があるからだ。
市場で売っているのを見かけて、つい買ってきてしまった。
荷物を整理して、最後に瓶を手に取る。
少し考えてから、棚の奥に仕舞った。
不意に顔を上げる。
視線をドアの方に向けると、少しの後ノックの音が響いた。
「開いている」
声をかけると、それに応えるようにドアが開いた。
「……お前、そんな言い方して客だったらどうすんだよ」
顔を見せたのは、最近よく来る黒髪の少年だ。
「誰が来たかはわかっていた。問題ない。それより何か用か」
淡々と言うと、アィルは呆れたようにため息をついて中に入ってきた。
「前に言ってた薬と、薬草、香草。貯まったから持ってきた」
「……あぁ、すまないな」
差し出された袋を、礼を言って受け取る。
「構わねえよ。俺も珍しい品融通してもらってるしな!」
快活に笑う少年はこれで腕の立つ薬師だ。
「今回は何かあるか?」
「……使えそうなものはこれといってないな」
「そうか。そりゃ残念」
「あぁでも少し待てば彼が……」
言い掛けたところで何もない空間から一人の青年が顔を出した。
「……っと、間に合った?」
首を傾げて視線を向けてくるので、それに応えてアィルを示す。
「あぁ良かった。はいこれ。アィル探してたでしょう」
そう言ってばさりと花束を渡す。
赤い花の束。
独特の甘い匂いがする。
「……え、これ……。緋月草じゃないか! この時期咲かないのに!」
驚いて思わず声を上げると、青年は軽く笑った。
「ちょうどそれがある時期に移動したからね。君が探してたのを思い出したんだよ」
「良いのかこれ……ありがとう!」
「まぁ僕には使い道ないし、いつもご飯もらってるしね」
「持って帰るならこれに入れると良い。十日ほどなら保つ」
「ありがとな! 今度来た時は腕によりをかけるぜ!」
「楽しみにしてるよ」
笑顔でアィルを見送っていた青年に、呆れの混ざった声で問いかける。
「……どこから持ってきたんだ」
「大丈夫。ちゃんとしたとこだよ」
笑顔で振り向く青年を見て、ため息をつく。
「あまり危険なことはするなよ」
青年は少し困ったように微笑んだ。
重い音がするのは、中に瓶があるからだ。
市場で売っているのを見かけて、つい買ってきてしまった。
荷物を整理して、最後に瓶を手に取る。
少し考えてから、棚の奥に仕舞った。
不意に顔を上げる。
視線をドアの方に向けると、少しの後ノックの音が響いた。
「開いている」
声をかけると、それに応えるようにドアが開いた。
「……お前、そんな言い方して客だったらどうすんだよ」
顔を見せたのは、最近よく来る黒髪の少年だ。
「誰が来たかはわかっていた。問題ない。それより何か用か」
淡々と言うと、アィルは呆れたようにため息をついて中に入ってきた。
「前に言ってた薬と、薬草、香草。貯まったから持ってきた」
「……あぁ、すまないな」
差し出された袋を、礼を言って受け取る。
「構わねえよ。俺も珍しい品融通してもらってるしな!」
快活に笑う少年はこれで腕の立つ薬師だ。
「今回は何かあるか?」
「……使えそうなものはこれといってないな」
「そうか。そりゃ残念」
「あぁでも少し待てば彼が……」
言い掛けたところで何もない空間から一人の青年が顔を出した。
「……っと、間に合った?」
首を傾げて視線を向けてくるので、それに応えてアィルを示す。
「あぁ良かった。はいこれ。アィル探してたでしょう」
そう言ってばさりと花束を渡す。
赤い花の束。
独特の甘い匂いがする。
「……え、これ……。緋月草じゃないか! この時期咲かないのに!」
驚いて思わず声を上げると、青年は軽く笑った。
「ちょうどそれがある時期に移動したからね。君が探してたのを思い出したんだよ」
「良いのかこれ……ありがとう!」
「まぁ僕には使い道ないし、いつもご飯もらってるしね」
「持って帰るならこれに入れると良い。十日ほどなら保つ」
「ありがとな! 今度来た時は腕によりをかけるぜ!」
「楽しみにしてるよ」
笑顔でアィルを見送っていた青年に、呆れの混ざった声で問いかける。
「……どこから持ってきたんだ」
「大丈夫。ちゃんとしたとこだよ」
笑顔で振り向く青年を見て、ため息をつく。
「あまり危険なことはするなよ」
青年は少し困ったように微笑んだ。
庭に向けて開け放たれた窓に腰掛け、空を見上げる。
今日は晴天で、厚着をしなくてもすむほどに暖かい。
微かに風が吹いて、後ろに流した髪を梳いていった。
「貴方が一人でいるとは珍しいですね」
掛けられた声に顔を上げると、此処に来て見慣れた二人が立っていた。
「レーウィス、とアリア?」
「何、ぼんやりして。アィルは?」
「今は薬室にいるよ。調剤は手伝えないから、なんとなく此処で」
「ぼんやり日向ぼっこですか。老成した年寄りのようですよ」
呆れ顔で言われた言葉に、アリアが笑う。
「そうよー。掃除でもしたら? この家無駄に広いんだから」
「掃除はアィルの方が上手なんだよ」
「上手になって見返してやればいいじゃない」
腰に手を当てるアリアに、レーウィスはまだ呆れた顔をしている。
「貴方は未だに掃除をすると物を壊しますけどね」
「う……。こ、壊れやすいものを置いているのがいけないのよ」
「貴方にかかったらみんな壊れやすいものですよ」
反論できずにアリアがレーウィスを上目遣いに睨む。
と、家の奥から足音がして、アィルが顔を出した。
「……おう。何だ来てたのか」
「薬は?」
「あぁ、あとは少し寝かせておくだけだ」
「では、私たちはこれで」
「じゃーねー」
手を振りながらその場を去っていった二人を見送りながら、アィルが首をかしげる。
「……? 何しに来たんだ?」
「さぁ。通りがかっただけみたいだよ」
「へぇ……」
今日は晴天で、厚着をしなくてもすむほどに暖かい。
微かに風が吹いて、後ろに流した髪を梳いていった。
「貴方が一人でいるとは珍しいですね」
掛けられた声に顔を上げると、此処に来て見慣れた二人が立っていた。
「レーウィス、とアリア?」
「何、ぼんやりして。アィルは?」
「今は薬室にいるよ。調剤は手伝えないから、なんとなく此処で」
「ぼんやり日向ぼっこですか。老成した年寄りのようですよ」
呆れ顔で言われた言葉に、アリアが笑う。
「そうよー。掃除でもしたら? この家無駄に広いんだから」
「掃除はアィルの方が上手なんだよ」
「上手になって見返してやればいいじゃない」
腰に手を当てるアリアに、レーウィスはまだ呆れた顔をしている。
「貴方は未だに掃除をすると物を壊しますけどね」
「う……。こ、壊れやすいものを置いているのがいけないのよ」
「貴方にかかったらみんな壊れやすいものですよ」
反論できずにアリアがレーウィスを上目遣いに睨む。
と、家の奥から足音がして、アィルが顔を出した。
「……おう。何だ来てたのか」
「薬は?」
「あぁ、あとは少し寝かせておくだけだ」
「では、私たちはこれで」
「じゃーねー」
手を振りながらその場を去っていった二人を見送りながら、アィルが首をかしげる。
「……? 何しに来たんだ?」
「さぁ。通りがかっただけみたいだよ」
「へぇ……」
「外に、行きたい?」
半ば唐突にそう聞くと、彼は書類には知らせていた手を止め、顔を上げた。
「は?」
怪訝そうに問い返す。
「いや、ずーっと城にこもりきりだから、どうかなぁと思って」
「どう、といわれても。仕事が多くてそんな暇無いんだが」
「目、悪くするよ?」
「今のところ大丈夫だ」
言って、また書類に目を落とす。
「フォリィア様」
扉を叩く音がして、男が顔を出した。
「どうした」
「来客です。どうしますか?」
「すぐ行く」
手早く机の上を片付けると、上着を取って部屋を横切る。
と、途中で足を止めて振り返る。
「休むなら隣に毛布があるから、そのまま横になるなよ」
「うん。いってらっしゃいー」
笑顔で手を振る。
彼は少し不思議そうな顔をして、けれどそのまま部屋を出て行った。
扉が閉まり、気配が遠ざかってから、ソファに深く座りなおす。
「ごめんねぇ」
ぽつり、と呟く。
「外には、出られないんだ」
忙しいのも、あるけどね、と呟き、彼はソファの背に頭を預けて目を閉じた。
半ば唐突にそう聞くと、彼は書類には知らせていた手を止め、顔を上げた。
「は?」
怪訝そうに問い返す。
「いや、ずーっと城にこもりきりだから、どうかなぁと思って」
「どう、といわれても。仕事が多くてそんな暇無いんだが」
「目、悪くするよ?」
「今のところ大丈夫だ」
言って、また書類に目を落とす。
「フォリィア様」
扉を叩く音がして、男が顔を出した。
「どうした」
「来客です。どうしますか?」
「すぐ行く」
手早く机の上を片付けると、上着を取って部屋を横切る。
と、途中で足を止めて振り返る。
「休むなら隣に毛布があるから、そのまま横になるなよ」
「うん。いってらっしゃいー」
笑顔で手を振る。
彼は少し不思議そうな顔をして、けれどそのまま部屋を出て行った。
扉が閉まり、気配が遠ざかってから、ソファに深く座りなおす。
「ごめんねぇ」
ぽつり、と呟く。
「外には、出られないんだ」
忙しいのも、あるけどね、と呟き、彼はソファの背に頭を預けて目を閉じた。